今回は、握力トレーニング3つのデメリットについて解説させて頂きます。
✅運動不足解消のために
ハンドグリップで握力を鍛えている
✅ボールやバットをしっかり持つために
握力を鍛えるよう言われる
こんな方もいるかもしれません。
確かに握力は、体力の一つの指標にされていたり、スポーツの場面でも道具を使ったりすることがあるので、積極的に鍛えることが推奨されています。
ただホームランバッターや剛速球を投げるピッチャーでも、握力は一般の全国平均以下、というケースも少なくありません。
実際、握力トレーニングにはデメリットが多く、スポーツでも日常生活においてもあまりおススメできないのですが、このことを知らずに損をしている人も多いです。
そこで今回は、握力トレーニング3つのデメリットについて解説させて頂きます。
この動画をご覧頂くと、、、
●握力トレーニングの何が問題なのか?
●握力を鍛えるよりも大切にすべきポイントは何か
等ということがわかるようになっていますので、ぜひ最後まで見ていってください。
■動画で解説はこちら
■なぜ多くの人が握力を鍛えるのか?
まず初めに、なぜ多くの人が握力を鍛えるのかという話をさせて頂きます。
よく言われるのが「握力は全身の筋力の写し鏡」という考え方です。
一般的に、全身の筋力は40代を境に低下する傾向があると言われていますが、これに比例して握力も低下する傾向があるようです。
このことから握力が低下すると、全身の筋力も低下していることが予想され、ご高齢の方にも積極的に鍛えることが推奨されています。
またスポーツの場面では、ラケットやバットを持って行う競技もあるので、握力が必要になるという観点から握力強化の必要性を言われることもあります。
確かに、こういった事実はあるかもしれませんが、握力を鍛えるだけで全身の筋力が高まるかというと、そうでない部分があると思います。
また、スポーツでラケットやボールを持つことはあっても、強く握れば握るほどパフォーマンスが上がるわけでもないと思います。
それどころか握力を鍛えるトレーニングで見られる「強く握る」という動作は、日常生活やスポーツの場面で様々なデメリットもありますので、次のセクションから解説したいと思います。
■握力を鍛えるデメリット①-肩甲骨、鎖骨周りが硬くなる
握力を鍛えるデメリット1つ目は、肩甲骨、鎖骨周りが硬くなる、ということです。
例えば、その場でぎゅっと手を握ってみて頂くと、手だけじゃなくて首から肩にかけても力が入ることが確認できると思います。
これは、身体の末端部である手先や指だけを動かす時に、肩甲骨、鎖骨が動いてしまうと、細かい調整がやりづらいので、無意識にこの辺りを動かないように固めることによる反応なのですが、この時、肩甲骨、鎖骨周りの筋肉は緊張して縮まっています。
このような状態が頻繁に起こると、この肩甲骨、鎖骨周りの筋肉は硬くなってくるので、身体全体が動かしづらくなってしまいます。
また握力を鍛えるトレーニングを繰り返す中で「強く握る」ということが、癖になってしまうと、何気ない動きの中でも必要以上に強く握ってしまうようになり、身体全体が動きづらくなる流れを加速してしまいます。
さらに、肩甲骨、鎖骨には、首の筋肉もついています。
「強く握る」というタイミングで首の筋肉も緊張状態ができますので、首こりや肩こりの原因になる可能性もあります。
■握力を鍛えるデメリット②-力こぶの筋肉が硬くなる
握力を鍛えるデメリット2つ目は、力こぶの筋肉が硬くなるということです。
「握る」という動作に連動して、この力こぶの筋肉も強く緊張しやすい傾向があります。
力こぶの筋肉の主な働きは、ヒジを曲げるというものですが、それに加えて「肩を外側に捻る」「肩を前に出す」という働きもあります。
ボールを投げたり、水泳のクロールのような動きもそうですが、肩を内側に捻りながら手の平が外側に向くような動作をしています。
これは腕を伸ばすという時に、腕を曲げる筋肉が働かないようにして動作をスムーズにするためのものですが、力こぶの筋肉が強く使われた時の肩を外側に捻る動作はこの動きに逆行します。
つまり、力こぶの筋肉が硬くなると、この肩を内側に捻るという動きが行いづらくなるということです。
また、力こぶの筋肉の肩を前に出すという作用は「姿勢」に影響します。
力こぶの筋肉が硬くなると、肩が前に出やすくなるので背筋を伸ばしづらかったり、巻き肩のような状態になりやすかったりします。
■握力を鍛えるデメリット③-前腕が太くなる
握力を鍛えるデメリット3つ目は、前腕が太くなるということです。
握力は指を曲げる力の強さですので、この動きには指を曲げる作用を持つ「前腕」筋肉が関わっています。
握力を鍛えると、この前腕の筋肉も太くなってきますが、この筋肉が必要以上に太くなると、身体をうまく使うという点においてデメリットになる要素が出てきます。
それは 腕の動きを邪魔する「重りになる」ということです。
筋肉が太くなるということは、その分重くなるということを意味します。
トレーニングの一環として、手首に重りを巻いて走ったり、鉄アレイをもってウォーキングしたり、というご経験がある方もいるかもしれませんが、前腕が不自然に太くなるということは、この状態と同じような状況になります。
つまり、腕の先に重りがつくことで、肩、腕が動かしづらい状態ができてしまい、しなやかに身体を動かすことに不利な状態になってしまうということです。
■握力を鍛えるよりも大切にすべきポイント
では握力の鍛える代わりに、どのような方向性を持って取り組むといいか、ということですが、まずは、いかに強く握らないで身体を動けるかということにフォーカスするのが大事だと思います。
このような習慣をつけることで、普段の動作の中で強く握るという状態がなくなってくると、マイナスの要素が減るので身体にとっては有益だと思います。
また、手先や腕がリラックスした状態では、鎖骨や肩甲骨周りから動きやすくなってきます。
肩甲骨や鎖骨から身体を動かしていくと、筋肉だけでなく神経系も活性化するので、筋肉の量は変わらなくても使える筋肉の割合が増える傾向があります。
そうなると、必要な握力は確保できるので、握力トレーニングは不要になるかもしれません。
また競技特性でラケットやバットなど、道具をもって行うものもあると思いますが、必要な握力、前腕の筋肉量としては、その競技動作の中で養われる部分もありますので、こちらも、あえて別で握力強化に取り組まなくても良いかもしれません。
また 例えばボールを指先で持つのか、指の腹全体で持つのか、手首はどのような角度か等、道具の持ち方の良し悪しによって強く握らなければいけない状態ができ、必要以上に握力を要してしまう可能性もありますので、このあたりの工夫も必要なケースがあると思います。
■今回のまとめ
それでは今回のまとめです。
今回は、握力トレーニングのデメリットについて解説させて頂きました。
●握力を鍛える過程で肩甲骨、鎖骨周りが硬くなり 動きづらくなる
●力こぶの筋肉も硬くなることで肩、腕を内側に捻る動きが行いづらくなる
●前腕部分が太くなることで腕の動きを邪魔する重りになる
●強く握らないで肩甲骨、鎖骨あたりから動くことが大事
こういった内容をお伝えさせて頂きました。
握力は測定器があれば簡単に数値化でき、手軽に取り組める部分もあるので、何かと身近な筋力の指標になっていますが、握力を鍛えることで様々なデメリットがある、ということを知って頂いたうえで、ご自身の状況にとって必要かどうか、再考頂く材料になればと思います。
それでは今回はここまでとなります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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