今回はのテーマは「前屈」です。
✅頑張って前屈しても指先は床に届かない
✅一生懸命ストレッチしてるのに いつまでたっても前屈は硬いまま
このようなご相談を頂くことがあります。
確かに 前屈は柔軟性の代表的なバロメーターでもありますので、あなたも柔らかくしたいと考えているかもしれません。
ただ、前屈という動作に関わる様々な要素を十分理解していない中で、がむしゃらにストレッチをしてかえって緊張を高めてしまっている、というケースも多いです。
そこで今回は「前屈が柔らかくならない原因と対策」について解説させて頂きます。
この動画をご覧頂くと、、、
◎一生懸命ストレッチしてるのに前屈ができない原因
◎前屈ができるようになるための具体的な改善ポイント
等についてわかるようになっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
■動画で解説はこちら
前屈をするために柔らかくすべき筋肉はどこか?
まず初めに、前屈で柔らかくすべき筋肉はどこか、という話をさせて頂きます。
具体的にどこの筋肉が邪魔をして、前屈できない状態になっているかということですが、代表的なのは裏ももの筋肉、ふくらはぎの筋肉です。
これはよくご存じの方も多いと思いますが、前屈のようにひざを伸ばした状態で身体を前に倒すような動作では、これらの筋肉が伸ばされるので裏もも、ふくらはぎの筋肉の柔軟性が高まっていると前屈はやりやすく、逆に硬くなっていると前屈できない、という状態になります。
ただ、一生懸命これらの筋肉をストレッチしているのに、なかなか柔らかくならないという方もいると思います。
これについては、次のセクションから解説させて頂く3つのポイントのどれかがうまくいっていない可能性が高いので、ご自身はどこがうまくいっていないか、ぜひ続きを確認してみてください。
ポイント①:リラックスする時間を確保できていない
裏ももやふくらはぎを一生懸命ストレッチしているのに前屈が なかなか柔らかくならない、この原因はいくつかあるのですが、最も多いのがリラックスする時間を確保できていない、ということです。
ストレッチとなると、多くの方が筋肉を伸ばすことに一生懸命になります。
確かにストレッチなので、伸ばすのは大事なのですが、伸ばすことでも筋肉は緊張する状態になります。
ただでさえ、硬くなって緊張が強くなっている筋肉をより強く伸ばそうとするので、全身が緊張状態になってなかなか柔らかくならないばかりか、かえって硬くなってしまうケースもあります。
そこで大事になってくるのが、ストレッチの中でリラックスする時間をしっかり確保する、ということです。
前屈が硬い方によく見られるのが、ストレッチで伸ばす時だけでなく、緩めた位置でも緊張している状態です。
この状態では、全身の緊張状態が続くので力を込め続ける筋トレをしているような状態になり、なかなか柔らかくなりません。
ストレッチで大事なのは、伸ばすことよりも緩む時間を確保すること。
そのためには、ひざを伸ばすことにこだわらず、ベンチなどを利用する場合はひざを曲げて足首も緩めた状態で行ったり、床で行う場合はおしりの下に台を入れる等、少しでもリラックスできるポジションで始める工夫が必要になります。
また筋肉を伸ばした状態を長くしない、ということも重要です。
先ほどお伝えしたように筋肉は伸びることでも緊張状態になるので、せっかく楽なポジションから始めても伸ばしっぱなし、という状態ができると、あまり意味がありません。
心地よく伸びるのを感じたら、リラックスできる位置にスッと身体を戻すというように、動きを伴った形で行う必要があります。
ポイント②:股関節から曲がっていない
前屈が柔らかくならない原因として次に多いのが、前屈をする時に股関節から曲がっていない、というケースです。
筋肉の状態だけでなく、前屈自体の方法が上手くいっていないために前屈しづらい状況になっているということがあります。
前屈できない方の前屈の姿勢は、多くのケースで腰から曲がるような状態になっています。
腰自体は、それほど大きく曲がる構造でないので、この姿勢でどれだけ頑張って曲げようとしても、物理的に倒すことはできません。
股関節は構造的に大きく曲げることも可能なので、股関節を曲げる方が前屈は倒しやすくなります。
前屈動作を股関節から曲げるためには、つま先目掛けて倒すというよりも少し前方に手をつくようなイメージで、脚のラインが垂直になる状態で倒していくことが必要になります。
ただ、前屈硬い方がこれをやろうとすると、手がつかないので怖さがあると思います。
そのような場合は、床ではなく少し高さのある台等を利用すると良いと思います。
高さのある台を身体の前に置いた状態で、その台に手をつくような形で前屈していくと比較的行いやすくなります。
柔軟性が高まってきたら、この台の高さを少しずつ低くしていくことで、ご自身の柔軟性の変化がわかりやすく、成果も上がりやすいと思いますので、取り組みの方向性として参考にして頂ければと思います。
また、この時に足の裏の外側に体重が乗っていることもポイントです。
体重が内側に乗っていると、脚のラインがX脚気味になり、もも裏の筋肉でも内側に偏って強く伸ばされることになるので、この緊張の影響で前屈がしづらくなってしまいます。
足の幅は腰幅で足裏のやや外側に体重があることで、脚のラインは真っすぐに揃い、内側、外側がバランスよく伸ばされるので、余分な緊張なく、前屈できる状態になります。
ポイント➂:普段の姿勢で硬くなっている
ここまで柔軟性を高めるコツと前屈自体の方法を見直すことをお伝えしてきましたが、これらのポイントを押さえていても、なかなか前屈が柔らかくならないケースがあります。
それは、普段の姿勢の影響で硬くしてしまっているケースです。
トレーニングやストレッチの時間よりも、それ以外で過ごす時間の方が長いのでせっかく良い形でトレーニングやストレッチできても、普段の姿勢や動作の中で硬くしてしまうとなかなか改善していきません。
具体的に気を付けたいのが、骨盤が後傾する姿勢です。
骨盤後傾とはこのように、お尻が下に引き下がり、腰や背中が丸くなるような姿勢です。
この状態では、前屈する時に伸ばされる裏ももの筋肉が常に縮まっている状態になるので、この筋肉がどんどん硬くなり、前屈しづらい状態になっていきます。
また、この姿勢は腰から曲げるという動きを助長してしまうので、正しい前屈姿勢も取りづらくなります。
骨盤後傾姿勢を改善するためには、先ほど前屈のバランスづくりでご紹介させて頂いた①腰幅のスタンスで、②足の裏の外側に体重がある状態をつくり、そのうえで➂骨盤の位置を前に持ってくる、ということが必要になります。
初動負荷トレーニングでの取り組み例
それでは参考までに、初動負荷トレーニングの中でのポイントをお伝えさせて頂きます。
基本的に、初動負荷トレーニングは、筋肉が伸びるシーンがありながらも、運動中にリラックスする時間が確保されやすくなっているので、柔軟性という面でもストレッチより成果が上がりやすくなっています。
ただそれでも筋肉の緊張が強く、硬くなってしまっている方はリラックスするタイミングを確保しづらかったり、右は良いけど左はキツい等、片側だけ緊張が強くなってしまうケースもあります。
そのような場合でも、ちょっと動きを工夫することで、リラックス時間を長く保ちながら、取り組むことができるので今回、ご紹介させて頂こうと思います。
例えば、こちらの「ヒップジョイント」というマシンでは、脚のラインが真っすぐになるような位置でシートに深く座って頂くことで、前屈の動きに影響する裏ももの筋肉が伸ばされやすくなるのですが、裏ももの筋肉が、かなり硬くなっているケースでは、セットした段階で緊張が強く、リラックスする時間が十分確保できないことがあります。
そのような場合の対応の一つとして、シートの端に座って行う方法があります。
この状態では、裏ももの筋肉も伸ばされますが、内もも等の筋肉も動員されますので、負荷が分散されて最初の真っ直ぐの形よりは楽な状態になります。
また曲げる方向の動きを大きくとりやすくなるので、もも裏でもヒザに近い方の筋肉は緩む時間が確保しやすくなり、そこからきつすぎない範囲での伸ばす動きを繰り返すことで、もも裏の筋肉の柔軟性が高まり、前屈しやすい状態ができやすくなります。
今回のまとめ
それでは今回のまとめです。
今回は、前屈が柔らかくならない原因と対策について解説させて頂きました。
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●伸ばすことよりも緩む時間を確保することが大事
●腰ではなく、股関節から曲げることが大事
●普段の姿勢で骨盤後傾しないことも大事
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こういった内容をお伝えさせて頂きました。
前屈がすべてではないですが、柔らかくなることでモチベーションにつながる部分もあると思いますので、なかなか前屈ができない方は、ぜひ今回の内容を参考に取り組みを調整して頂ければと思います。
それでは今回はここまでとなります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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■その他関連の質問
Q.前屈の目的は何ですか?
A.目的の一つが柔軟性のチェックです。
股関節の動きに関わる大きな筋肉(大殿筋、ハムストリングス等)が伸ばされる姿勢になりますので、現状、自分の股関節がうまく使える状態かどうか、確認するのに役立ちます。
また、前屈姿勢でこれらの筋肉が伸ばされると、血液の循環が良くなる傾向がありますので、疲労回復や健康づくりの一環として取り組むことも有用です。
Q.前屈するメリットは?
A.お尻や裏ももの筋肉等の柔軟性が高まること、柔軟性が高まるに伴って血流が良くなること、骨盤のポジションが安定することでの腰痛予防等が挙げられます。
ただ骨盤が後傾したような前屈姿勢ではお尻、裏ももなどの柔軟性が十分高まらず、腰に負担がかかりやすいので、あまり効果的ではありません。
股関節から曲がる正しい前屈姿勢を身につけて取り組みたいところです。(具体的な姿勢のつくり方は上記の記事参照)
Q.前屈どこが硬い?
A.前屈姿勢をとった時に脚の後ろ側の筋肉が伸ばされますが、この時に刺激を感じる場所によってアプローチの方法が異なります。
膝の後ろ側が強く伸ばされるケースでは、腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)はハムストリングス(裏ももの筋肉)でも膝に近い側が硬い状態なので、足首を脛側に近づける「背屈」という状態を作りながら膝が伸びる状態を作っていくことで、改善しやすくなります。
また裏ももの筋肉でも、お尻側に近い方が強く伸ばされるようであれば、大殿筋(お尻の筋肉)やハムストリングス(裏ももの筋肉)の付け根側が硬くなっているので、膝を軽く曲げた状態で骨盤が前に倒れる前傾という状態を作りながらトレーニング、ストレッチをしていくことで改善しやすくなります。