先日、体験にお越し頂いた80代男性の話です。
先天性の疾患により、歩行が困難で長距離の移動は車いすを、短い距離は歩行器を使用されている状態でした。体験はスタッフ誘導の下、安全面を考慮しながら2種目実施しました。マシンの動作は何とか行えましたが、乗り降りや移動時にかなり不安定さが見られました。
その夜、スタッフでこの状況踏まえ、受け入れが可能か話し合いました。
なんとかご本人の良くなりたい気持ちに応えたいという想いはありますが、毎回、スタッフがサポートにつける状態でないこと、たくさんの会員の方が同時にトレーニングにいらっしゃり、込み合いの中ですれ違うシーン等もあることから、大変残念ではありますが、現状、安全にトレーニングして頂くことが難しいという結論に至りました。
翌日、このことをお電話でお伝えしないといけませんでした。
きっとがっかりされるだろうな・・・
少しでも気を落とされないよう、どう伝えたらいいか・・・
そんな思いで受話器を手に取り、一緒にお越しいただいたご家族の方にお電話しました。
呼び出し音が鳴るたびに、緊張感が高まります。
娘様がお出になられました。
「昨日の受け入れの件なのですが・・・」
と話を切り出し、今回の受け入れが難しいことをお伝えしました。
すると、娘様から思いもよらない言葉が返ってきたのです。
「両親は、受け入れができないことでの残念な気持ちよりも、トレーニング体験後に肩が楽になったりという反応を感じられたことで、こんなトレーニングがあるんだ、貴重な経験ができたと喜んでいました。受け入れが難しいことはわかっていたし、むしろ父親のことをよく考えて決断して頂いたのだと思います。ありがとうございました。」
なんということでしょう。がっかりされるどころか、良い経験ができたと喜んでおられるとのこと。申し訳なさと前向きな想いに触れた感動で、胸が熱くなりました。
今回、私たちの施設での受け入れは難しいということになりましたが、同じ初動負荷トレーニングをリハビリ用に設置している医療機関である一宮市の「孝友クリニック」、東海市の「おおすが整形外科」のことを紹介させて頂きました。こちらは医療機関として理学療法士の方がサポートについて対応できる環境が整っており、トレーニングジム形式の私たちの施設よりも安全にトレーニングできる部分があります。
両施設のことは以前から知っておられたようですが、アクセスの面からもあまり気乗りしないようなことを仰っていました。しかし、今回の体験を経て上記医療機関での初動負荷トレーニングの取り組みを前向きに検討してみたくなられたようです。
利用にあたって何かあればまた御相談させてください、と仰られたので快く承諾させて頂きました。
改めて「良い皆様に囲まれてなあ・・・」と温かい輪の中で日々仕事ができる幸せを実感した出来事でした。
担当スタッフ
大家 達佳(おおや たつよし)2016年入社岐阜県飛騨市出身。トレーナーとして大学時代から活躍するも「この考え、方法は本当に正しいのか?」「良くなる人もいれば逆効果の人もいる、そもそも良くなっていても根本的な解決になっているのか?」と従来の方法に疑問をもち、初動負荷トレーニングにたどり着く。実際体験する中で現場で感じていた数々の葛藤は解消され、この道に進むことを決めた。将来は地元にワールドウィングをつくりたいという夢がある。詳細はこちらから |